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‹ Zytronic社のニュース

新技術がタッチスクリーンの可能性を拡げる

06 7月 2018

アンドリュー・モリソン博士

技術担当者

Zytronic

 

投影型タッチスクリーン市場に静かな革命が起こっています。急速な産業の発展によって、より薄い、高性能・高信頼性・低コストのタッチスクリーンが提供されています。これらの開発の原動力には、ITOと呼ばれる携帯電話やタブレットのタッチスクリーンに使われる長寿命導電性材料には限界があり、結果として代替材料に取って代わられているという事実があります。 ITOは大型AVやキオスクではあまり使用されていませんが、代替として開発されている技術が広く使用される可能性があります。

技術担当者は、選択したタッチスクリーンで使用される下地材料には、外観や最も重要となる野外でのパフォーマンスに大幅な差を生じさせる可能性があるため、十分に注意する必要があります。ある用途に非常に有効な技術は別の深刻な制限を受ける場合があります。

本稿では、6つの主要な代替材料の技術を検討し、各々の長所と短所を見ることで、担当者が情報に基づいた選択をする手助けとなることを目指しています。まず、ITOがいくつかの用途において使われなくなっている理由から始め、その代替案を検討することとします。

なぜITOから離れていくのか?

投影型タッチ技術の変化に大きく関わっているのは、別々のタッチスクリーン・オーバーレイ(個別タッチ・オーバーレイ)の必要性を排除し、LCDパネル自体(「セル内」テクノロジー)にタッチを統合するという動きです。これを実現させることにより、統合が容易でより薄く、より軽いタッチ対応デバイスの使用が可能となります。光学性能や輝度もLCDとユーザー間の距離および層を減少することによって改善させることができます。

しかし、「セル内」タッチスクリーン製造のプロセスは、いまだ発展途上であるため、業界における広範囲での採用が制限されています。結果的に、少なくともスマートフォンやタブレット、ウェアラブル端末等の小さな携帯型端末においてはITO導体を使用した個別投影型タッチスクリーン・オーバーレイが主要な技術として残っています。しかし、ディスプレイサイズが約20インチを超えて大きくなるにつれ、比較的高い電気抵抗によりパフォーマンスが妨げられるため、いくつかの用途に対する材料の選択肢としては適していません。

それでは、どのような導電材料が大型タッチスクリーンに利用できるのでしょうか?  現在、銅マイクロワイヤー、シルバーメタルメッシュ、シルバーナノワイヤーという3つの主要な材料技術と、現在開発中で今後数年の間に登場する可能性の高いカーボンナノバッド、導電性ポリマー、グラフェンがあります。これらの中から初めの5つについて、経済性、電気抵抗、可視性および可用性という4つの重要な点を見ていきます。最後にグラフェンについて述べますが、これは開発の早期段階にあるため現時点では市販されていません。

経済性

タッチスクリーンのコストを考える際、主に問題となるのは、初期費用(ツーリングコスト)とその後に続く材料に関わる要件です。マスクなしで直接、基板材料に書き込むことのできる技術は、ツーリングに関わる要件が少なく、少量をより安価に製造することができます。マスクや他のツールを必要とする場合には、少量の異なるサイズのスクリーンを柔軟に製造する能力が制限されますが、大量の標準サイズ製造時に費用を削減できる可能性があります。

ツーリングに関しては、銅マイクロワイヤーが柔軟性の点で有利です。電極を直接、基板に書き込むことができ、レーザーやマスク、薬品、エッチング、ツーリングを必要としません。銀ナノワイヤーは、レーザー切断によってある程度カスタマイズすることができますが、境界にある導体をコントローラーにつなげる追加の処理が必要となります。導電性ポリマーもスクリーン印刷を用いて比較的容易に使用できますが、シルクスクリーン印刷の段階またはエッチングやレーザーの適用後にパターニングする必要があります。それとは対照的に、銀金属メッシュ材料は初めからパターニングされているので、センサーのサイズを先行指定する必要があります。これにより、センサーの設計ごとにスクリーンサイズに応じて約1万ドルから2万ドルのツーリング費用がかかります。カーボンナノバッドを被覆する手順は、「ナノバッドリアクター」を使用後、レーザーパターニング工程で電極を作成するという複雑なものです。

また、製造コストに関する重要事項として、必要となる層の数があります。銅マイクロワイヤーは、xおよびy電極を単一層で形成するために絶縁させることが可能です。カプセル化絶縁はまた、野外にて高熱や湿気に晒された際にタッチスクリーンのパフォーマンスを急低下させる、材料の酸化を防止します。銀ナノワイヤーおよび金属メッシュ、導電性ポリマーのセンサー構造では一般的に単層の設計上の材料含有量を増加させる(xおよびy)導体を絶縁させるために、2層以上が必要となります。カーボンナノバッドもまた2層技術です。さらに、上記の酸化やタッチスクリーンの故障を引き起こす可能性があるため、材料への水分浸入を防ぐよう注意しなければなりません。

電気抵抗

タッチスクリーンの電気抵抗は、タッチ感度や「信号対ノイズ」比(SNR)を決定する際の主要因となります。高抵抗の材料は、導体を流れる電流量を制限するため、ディスプレイや電源、その他の電子機器から発生する周囲の環境妨害(EMI)からタッチイベントを正確に検出することが困難になります。この電気抵抗は明らかに、大型タッチスクリーン、特にマルチタッチやパームリジェクション、近接検知(指が実際に画面に接触する前にタッチを識別する)のような機能が必要な場合に問題となります。

上記に示したように、ITOは平方あたり100 Ωまでの比較的高い電気抵抗を有するため、一般的に小型タッチスクリーンでの使用に限定されており、結果的に同材料を使用するほとんどのタッチスクリーンは約22インチ以下で、それを超えるとパフォーマンスに大幅な制限がかかります。銀ナノワイヤーは、ITOよりも優れた電気抵抗(PETフィルム基板上の平方あたり30から50 Ω)を有しています。そのため、同技術を使用する投影型タッチセンサーは約42インチまで(それを超えるとタッチ性能が低下)適用可能です。銀金属メッシュは、さらに低い平方あたり約15 Ωから30 Ωの電気抵抗を有し、その結果として最大約65インチのタッチスクリーンでの使用が可能です。銅マイクロワイヤーは、最も低い平方あたり約5 Ω以下の電気抵抗を有しており、サイズが100インチを超える巨大タッチスクリーンの作成に使用することができます。さらに、非常に低い電気抵抗は最良の信号対ノイズ比をもたらすため、高電圧での制御装置の稼働や、複数リンクされたコントローラーを使用したスクリーンの連結(両方とも、他材料の技術によって大型タッチスクリーンを実現させるために用いられる変則的な方法)を必要とせず、手袋をしたままでも非常に厚いオーバーレイ・ガラスを介してタッチを検出できるタッチスクリーンが実現可能となります。

可視性

すべての個別オーバーレイ投影型タッチ技術には、それがいかに小さなものであれ、画像に対して光学的な差を生むユーザーとスクリーン間への材料導入が含まれます。銅マイクロワイヤーをベースとした技術では、10um導体のグリッドは、特にディスプレイがオフになっている場合には視認が可能です。とはいえ、光透過性は反射防止処理前でも優れており、90%の範囲内に収まります。それとは対照的に、銀ナノワイヤーおよび金属メッシュ技術は、より見えにくい導電性トラック(5~10um範囲の金属メッシュ)の作成を可能にしますが、ナノワイヤーおよび導電性ポリマーコーティングは、スクリーン全体にわずかな色かぶりや曇りを発生させ、標準的な光透過性は85%前後になります。

可用性および寿命

銅マイクロワイヤーのタッチセンサーは、一握りの専門メーカーによって20年近く生産されており、過酷な環境での大型サイズ用投影型タッチスクリーン技術として実証済みです。銀金属メッシュおよびナノワイヤーをベースとしたタッチ技術は、多くのメーカーが必要となる印刷およびレーザーパターニング装置を導入したため、過去数年間で急速に主流技術となりつつあります。タッチスクリーン業界において比較的新しいこれら2つの技術は、長期的な信頼性、特に屋外等で厳しい温度や湿度に晒された際の電気抵抗(およびタッチ性能)の変化に関してはいまだ証明されていません。

グラフェン

近い将来、業界に変化をもたらす可能性のある新たなタッチスクリーン材料の技術がグラフェンです。2004年にマンチェスター大学で初めて発見されて以来、その強度や透明性、導電性に関する有望な結果が示されてきましたが、開発はまだ始まったばかりです。厚さ1原子のカーボン層として被覆した場合、銅マイクロワイヤーと同等の低抵抗性と「不可視な」導体の可能性を有します。しかし、投影型タッチスクリーン用の材料としての可能性があるにもかかわらず、この期待される新技術には水の浄化や電池、太陽電池等、その他多くの用途が存在し、開発者のほとんどはこれらの分野に集中的に取り組んでおり、タッチスクリーン用途へ開発は進んでおりません。

大局的な展望

結論として、投影型タッチスクリーン用の「完璧な」導電性材料のようなものは存在しません。そして設計者は常に、タッチスクリーンの用途に合わせてパフォーマンスや光学、耐久性、拡張性、信頼性の最適な組み合わせを探す必要があります。携帯電話およびタブレット用タッチスクリーンの世界市場は、商業AV市場を凌駕しています。目安として、Touch Display Research社はITO代替市場が2023年までに130億ドルに達する可能性があると推定しています。結果として、この巨大市場は必然的に新たなタッチスクリーン用材料の開発に焦点を当てているのです。また一方、投資もほぼ確実に商業および産業市場に利益をもたらすでしょう。

 

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